大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和40(オ)234 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告人らの上告理由第一点について。

上告人らは、原審において、第一審において求めていた本件建物の一部明渡を全

部明渡に請求の趣旨を変更したのであるが、かかる場合に、原審が上告人らの請求

を棄却すべきであるという見解に到達したのであれば、第一審判決を取り消すべき

ではなく、控訴棄却の言渡をなすべきであると主張する。

しかし、右全部明渡の新訴は原審に至り提起されたものであつて、第一審におい

てたんら判決されていないのであるから、原審は、新訴につき実質上第一審として

の裁判をなすことを要するのであり、たとえ右新訴に対する原審の結論が請求の棄

却であつて、第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の判決

をなすべきものではなく、新訴について請求の棄却をなすべきものなのである(当

裁判所第一小法廷昭和三元年一二月二〇日言渡判決、民集一〇巻一五七三頁、同小

法廷昭和三二年二月二八日言渡判決、民集一一巻三七四頁参照)。他方において、

旧訴については、取下により、その訴訟係属は遡及的に消滅し、第一審判決も、こ

れに対する控訴も当然にその効力を失つているものであるから、原審は、府訴につ

いてなんら裁判をする必要はないのであるが、控訴裁判所としては第一審判決の当

否を審判する立場にあつた原審が、旧訴の取下により第一審判決が失効したことを

確認する意味において、第一審判決を取り消す旨を主文に掲記することは法律上許

されないことではなく、このような宣言が存するからといつて、原判決が違法とな

るものではない。

これと異なる見解に基づいて原判決を攻撃する論旨は採用できない。

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同第二、三点について。

原審の証拠関係に照らすと、訴外Dが被上告人から本件売買契約締結の代理権を

授与された旨の上告人らの主張は証拠上認められないとした原審の判断は是認でき

る。所論は、畢竟、原審の認定と相容れない事実を前提とし、原審が適法にした証

拠の取捨判断および事実の認定を攻撃するものであり、採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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